6月18日
久しぶりに写真展を見た。池田葉子「Crystalline」@ギャラリー・アートアンリミテッド(http://www.artunlimited.co.jp/current/)
よかった。久しぶりにいい写真を見た。こういうのが写真だ、というのを思い出すような、すっきりと気持ちのいい気分を味わえた。おっとっと、思い出した喜びに浸っていたわけではなかった。一枚一枚に惹きつけられ、おおー、おおー、と驚き、ええ、何これ! と笑い、すげーなー、これ、と唸ったりしながら画面を見ていく。ピントの浅さが距離感を狂わせていく。ピントが浅いことによって距離感が出て、「写真らしさ」さが増していくのが、よく見る写真なのだけど、この写真はそこが少しおかしい。めまいを起こしそうになる。それはピントのせいだけではない。色にも関係しているような気がする。気がするだけで本当はよくわからない。でもピントと色の関係を疑いたくなるような何かがある。「写真らしさ」が薄れ、少し絵画に近づいていくような気がしてくる。被写体は様々。色や光や影に注意を払っているからだろう。被写体を選ぶ自由さにはっとする。以前、ごちゃっとしたものが好きだ、みたいなことを言っていたことを思い出す。ここにもごちゃっというか、もちゃっというか、ぐしゃぐしゃとした被写体が選ばれている。生理的な反応。これらの写真には頭で考えた何か、というよりも、生理的な反応、といった、もっと身体から直接発せられる何かがある。直線を意識した写真や光や影を追っているような写真を選んだのは、たぶんタイトルのせいだろう。そういう後から考えたようなことに沿ってこの写真を見ていくと、見失うものが多くあるような気がする。そういうのを忘れて、展示してある写真をただ眺めるのがいい。身体を使って眺めるのがいい。そうするとウキウキしてくる。理解する、共感する、ということではない。そういうものにはもうすっかりうんざりだ。向こうから訴えてくる何かをどう受け取るか、見る側は、能動的であるほうがいい。