ゴキブリ

暗室に入っていてゴキブリのことを思い出した。
でもあれはゴキブリだったのかどうかわからない。
知っているゴキブリより体は一回り大きく、色はもっと黒く、
おなかはペタンと潰れていて、上から見ると羽からはみ出ているような状態で、
核戦争後に生き残ったゴキブリのような感じだった。
そのゴキブリらしきものが夕方、どこかの町の橋の手すりの上をヨタヨタ歩いていた。
最初、その見慣れない不恰好な生き物に目を奪われた。
気持ち悪かった。
あまりに気持ち悪くて目が離せなくなってしまった。
いつまでもヨタヨタ歩いていたので、デジカメで写真を撮ったりしてみた。
撮って、すぐに画像を確認して、
なのにあまりにも気持ち悪いから
すぐにその画像を消去してしまった。
橋を渡りきるまでそのゴキブリらしきものをずっと見ていた。
あれはゴキブリだったのだろうか。
羽からはみ出して見えるおなかに入ったスジと
黒くツヤツヤした感じが生々しく思い出された。