Shin Yamagata

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夕方




ドトールの帰り道、夕方の商店街を歩いていると頭上にある電線の上を夕方になった空の色を背景に
シルエットになったネズミが綱渡りをするように歩いているのを見かけた。滅多に見れないものを見て
しまったようで得した気分で歩いていると、ヒラヒラと小鳥が二匹じゃれあって、木の葉のように舞い
降りてきたかと思うと「トンッ」という音がして、一匹が車に轢かれて地面に落ちてしまった。落ちてしま
った小鳥はスズメで、まだ生きていて、外傷はなく、ただうずくまるようにして地面でじっとしていた。こ
のままこの地面でじっとしていたら、次に来る車に轢かれてペシャンコになってしまうと思い、拾い上げ
て歩道の横にある垣根に移動させてみたけど、ここに移動したからといってこのスズメは助かるのかど
うかといえば、きっとこのまま死んでしまうか、ネコに食べられてしまうかのどちらかでどうしようもない
けど、もしかしたら今はショック状態でしばらくしたらまた普通に飛べるようになるかもしれないと思って
様子を見ていたけど全然動く気配はなくて、口を半開きにしたまま時々まばたきをしてスズメはじっと
していた。もしかしたら僕がそばにいるからじっとしているだけで、離れてみれば普通に飛んだりするか
もしれないと思って、少し離れたところから様子を見ていたら、一緒に遊んでいたもう一匹のスズメがす
ぐそばの電柱の上にいるのが見えた。一緒に遊んでいたスズメかどうかの確信はないけれど、状況的
にそう思うのが普通のような気がしてしばらく見ていたけど、怪我をしたスズメのそばに降りてきて、
「チュン?」と言ったりはしないで、怪我をしたスズメと同じように電柱の上でじっとしていた。スズメは
人間と同じように心配したりするのかどうかわからないけど、スズメにはスズメの「やり方」というのが
きっとあって、そうやって少し離れた位置でじっとしているのだろうと思った。