引用
「四人が起きているあいだは部屋が四人で足りてるって思ってるんだけど、寝ちゃったらどうなのかって----。
たとえば映画なんかで、引越しが終わっちゃったあとにカラッポの部屋だけ映して、それにみんな楽しそうに話している声をかぶせるっていう方法が、ありますよねえ。
ああいう感じと同じってわけじゃないけど、----部屋とかいつも歩いている風景とか、そういうのってどれくらいこっちが支配してるのかっていうか、こっちの感覚が届いているのかっていうか、----だから引越しのシーンとはやっぱり全然違うんだけど、----。
いつもいる場所に対して人がどういう関係のつけ方をしているのかっていうのを、映像と音で撮れるかどうかわからないけど----、やっぱり撮りたいと思ってるから、とにかくまずすべてのシチュエーションを撮ることにしてみよう----って。
----誰だか忘れちゃったけど、写真の初期の頃に、街の様子を写真に取ってみたら自分がそのとき写そうとしたものより、そのときには気がついていなかったものの方におもしろいと思うのが写っていた----っていうのがあったけど、その感じって今でも変わってないと思うし、----」
「----映像を抜きにして言葉をつなげていっちゃうと、言葉っていうのは本当に都合のいいほうに流れていっちゃう----って、最近よく思うから----」
保坂和志さん 「草の上の朝食」より引用。


