Shin Yamagata

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練馬区のタヌキ





デジカメのピントを3メートルくらいのところに固定してストロボを強制発光の状態にして、さらにシャッターに指をかけて半押しの状態を保ったまま、夜の12時過ぎくらいから自転車に乗って近所にいるはずのタヌキの捜索を始めることにした。いつも見かける辺りを中心に行ったり来たり、違う道に入ってみたりしながらゆっくりとなるべく音を立てないように自転車を漕ぐようにする。範囲は自宅から南南西の方角へ真っ直ぐに200メートルから300メートルくらい進んだところに中心を持つ円の中くらいだろうか。だからあまり範囲は広くない。この辺は住宅街で細い道が入り組んでいて、所々に畑もあったりする。暗いのでよく目を凝らしてあちこち見ながら自転車を漕ぐ。
30〜40分くらいしたところでずっと先の道で動物の影が動くのが見えた。そこはちょうど路地の交差点の近くで70〜80メートルは離れていたと思う。街灯の逆光のせいでほんとうに影でその生き物は見えた。それは猫ではなくてタヌキだという確信があった。だからそっと近づこうと思ったら、僕から見てその先にある交差点の右側の道から人が歩いてきた。どんなタイミングでお前は出てきてんねん、って思ったけど、出てきたものはしょうがない。タヌキがどっちに逃げるか目を凝らしてみてたけど、チラッとタヌキがヒョヒョッと見えただけで、見失ってしまった。この写真に写っている花壇が邪魔でよく見えない。この花壇は中央分離帯のように道の真ん中にずっと並んであるから、片側の道からはもう片側の道がよく見えない。あれ、あれ、って思っている間に見失ってしまった。歩いてきたのはおっさんで、花壇の左側の道をこちらに向かって歩いてきたので、僕は花壇の右側の道をタヌキがいた方へ向かって自転車を進めた。交差点のところまで進んで、おっさんが歩いて来た方の道と、花壇を挟んだおっさんと僕が進んだ道の2つにはたぬきはいないだろうから、タヌキが逃げたとするとあと二つの道しかないけど、その道を見ながら、この二つの道に逃げたような気がしないと思い始めていた。見逃したんじゃなくて、もしかして花壇の茂みの中に隠れたんじゃないかとそのまま交差点を直進しながらふと思った。なのでUターンしてゆっくりそっと自転車を進めながらおっさんが歩いて行った方の花壇を見ようとしたら、交差点からそんなに離れていない花壇の上をおしりを振りながら歩いているタヌキの後姿があった。「わっ!」。だからおっさんはタヌキのすぐ横を歩いていたことになる。その間、タヌキは花壇の上でおっさんをジッと動かずに見ていたのだと思う(花壇の茂みには潜り込めそうにないから)。タヌキは人間のこんなにすぐ近くにいたんだとちょっと感動した。こっちが気付いていないだけで、ちょっと横を見ればタヌキはいつもこっちを見ていたんだと思った。実際その時の僕の状態は、自転車に乗りながらたぬきにそっと近づきながらカメラを持った腕をグッとタヌキの方に伸ばして、必死で写真を撮ろうとしているからこんなにいろいろ考えて感動してたわけじゃなくて、タヌキのおしりを見ながら「わっ、おしり!」って心が動かされている状態でその「わっ!」の一言の中に、上記に書いたような内容の様々が含まれていたのだけど、とにかくたぬきはこちらが自転車でそっと近づいていることには気付いていなくて、無防備におしりを振りながら歩いているから、できるだけ近づいてシャッターを押してやろうと、グ〜と腕を伸ばしながら近づいて、それでたぬきがこっちに気付いて、もうその時はかなり近づいていたけど、こっちを振り返ったときにシャッターをバチ〜ンと押したった〜〜。やった!!と思って、自転車を止めたら、タヌキも止まっていた。止まってこっちを見ている。僕とタヌキは見つめ合っている。僕はカメラをまだタヌキに向けたままで、ストロボのチャージが完了して次のシャッターが押せるまでのほんの数秒、そうやってお互いジッとしたまま、見つめ合いながら、変な時間が流れていた。チャージが完了してすぐにまたシャッターを切ったら、瞬間にタヌキは猫のような俊敏な動きで花壇を飛び降りて走り出していってしまった。
タヌキ撮りました。
>>>http://d.hatena.ne.jp/blepharisma/20090702
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