Shin Yamagata

お知らせ  zine  Twitter   Instagram


 

レシート




本(古本)を読んでいたら小さなレシートが出てきた。もう文字は消えかかっているけど、高井戸にある本屋のレシートだということがわかる。この本は下北沢の古本屋で200円で買った。電話番号もうっすらと見えていて、「03」を除いて7桁になっているから随分前のレシートだということがわかる。「340」という数字も見える。これはこの本の値段だ。本の最後のページの方を見ると、「一九八六年四月二十四日 第一刷発行」となっている。この本は今も新品で売られているから随分と版を重ねてきたことになる。値段も340円では買えないだろう。
この本はいったいいつあの下北沢の古本屋に来たのだろうかと思った。高井戸の本屋で買った人が20年後くらいに下北沢の古本屋に持ってきたのだろうか。それともあちこちの古本屋をめぐって、いろんな人に読まれてから下北沢の古本屋に来たのだろうか。それならこのレシートはずっとこの本に挟まれたまま、誰にも捨てられずにここまで来たことになるけど、はたしてそんなことがあるのだろうか。もしそうだとしたら僕もこのレシートが見つからないようにそっと本に挟み込んで古本屋に売らなければならないような気がしてしまう。この出てきたレシートのせいで考えなくてもいいことをいつまでも考えてしまう。