Shin Yamagata

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部屋




その部屋はびっくりするくらいに暑かった。さっきまで外を歩いていた時はもう一枚何か上に着てくればよかったとずっと思っていたのに、ここではTシャツ一枚で平気なくらいだった。そしてさっきの寒さを一瞬で忘れてしまった。それにこの部屋にかかっている音楽の音が大きすぎた。アメリカのハードロックもどき的な音楽だった。ギターの歪んだ音が耳に障り視界が少し悪くなったような気がした。廊下の向こうから背の高いがっちりとした外国の人(男、白人)が歩いてきたので「おはようございます」と頭を下げたら、ものすごく大きな声で「おはよーござーいます。」と言った。それから早口の聞き取りにくい日本語で何かを言ったけど、やっぱり何も聞き取れなかった。そのままその外国の人は通り過ぎて廊下の先を右に曲がって見えなくなった。ここにいるはずだと思っていた人たちは一人も見当たらなかったので、少し不安になった。やばい、と心の中で呟いていた。カメラをカバンから取り出して、窓の外の水たまりに写っている太陽を写真に撮った。腕時計を見て、またやばいな〜と思っていた。