さなぎ

沈丁花の花のにおいに混じってカレーのにおいが漂っている道を歩いていた。春の匂いなのか夕方の匂いなのか。３０メートルくらい先の塀の上から茶色い猫が飛び降り、それに続いて白と黒のブチの猫が下りてきて、白と黒のブチの方が急に足を速めて茶色の方に追いつこうと駆けた。そこまでは確実に見ていたのだけど、その先その猫たちがどうしたのかまでは見ていない。畑の横を通りかかったので蝶々のさなぎを探そうとしゃがみこんであちこち探すけど、さなぎは見つからない。キャベツが植わっていた周辺にいる可能性が高いと糸崎さんが前に教えてくれたから教えを守って探すけどいつも見つからない。サーと横を蝶々が横切る気配を感じて横を向いてみたけど何も飛んでいなかった。そろそろ蝶々はさなぎから成虫になって飛びはじめるようになるだろうから、その前になんとしてもさなぎを見つけたい。