Shin Yamagata

お知らせ  zine  Twitter   Instagram


 

名刺




オフィス街にある背の高いビルの23階にある会場にいくつか並んでいる円卓の中央には、お菓子がすこしと正方形の大きめの付箋と赤いサインペンがその席に座る人数の数だけ置かれ、ミーティングだからとりあえず来て、と言われたから来たものの、知っている人がほとんどいない不安から、窓の外に見える他のビルの中に詰まっている人間の微かな動きを眺めていたりして、何かを紛らわそうとしていた。この人は誰々です、と紹介されるたびに渡しなれない名刺を渡したり受け取ったりしているうちに、その渡されて手の中に集まってきている名刺を見ても、もう顔と名前が一致しなくなっており、名刺はただの紙切れになりつつあった。名刺にちょっとメモしておくと忘れないよ、と名刺を眺めていると横から教えてくれた男も挨拶回りに忙しく動いていて、よく見ると会場全体がそのような挨拶をして名刺を手に持っている人で溢れているのだった。