11月29日

散歩に出ようと呼び出されたとき背の高い女は愛の告白かしらとときめいた。その場を目撃したもう一人の背の高い女はいったい何事が起こるのかと別の心をときめかせていた。しかし背の高い女は作業中で手を離すことができず、散歩に出ようという男の申し出を何度ももう少し待ってくだされという言葉で先延ばしにした。もう一人の背の高い女はその状況にがまんがならず、わたし耳塞いでいますからここいらでやっちまってくださいと言おうとして思い直したけどやっぱり言ってしまった。それでも背の高い女は作業の手を休めない。そろそろ散歩に行こうという男の何度も繰り返される催促はもう一人の背の高い女の心をいつまでも弾ませていた。そのもう一人の背の高い女も作業中で、手を離してどこかへ行く暇はないからその場にとどまるしかなかった。男は退屈そうに二人の背の高い女の忙しそうな姿を眺めている。