Shin Yamagata

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9月15日
花屋さんが花を飾り付けている。その中に、いかにもな男が一人いて、他の人に顎や指を使って指示を出している。花屋さん全員が白っぽい服を着ている。いかにもな男は膝まである長く白いシャツをひらひらさせながら歩いている。他の人たちはハサミで花を切っているのに、いかにもな男はナイフで花の茎を切っている。切ったあとはナイフを口に咥えて、いかにもな顔を傾げて切った花を眺めている。いったい誰の目を気にしてそういう振る舞いをしているのだ、俺の目か? 確かに俺はお前を見ている。お前に釘付けだ。もうお前から目が離せない。お前が飾り付けた花はお前と同じでつまらない。作りすぎていてつまらない、人の手が入りすぎてグロテスクになってしまっている、いや、グロテスクとは違う、花はもともとグロテスクだ、だからこれはなんと言っていいのかよくわからない、もう花ではないし植物でもない。見た目だけは一丁前、でも中身はからっぽ、そんな奴らが集うこの場にわたしは立っている。わたしもナイフを口に咥え、この場を歩き回っている。