Shin Yamagata

お知らせ  zine  Twitter   Instagram


 


12月13日
日が暮れ、踏切で電車の通過を待っている間、冷たい風が頬を刺していた。通り過ぎて行く電車の明るい車内に佇む人に焦点を合わそうとするのだけど、電車のスピードに目が追いつかず、誰の顔もきちんと見えない。踏切にたまっていた人々が一斉に動き出す。今日一日が終わっていく。わたしは今日は何をしたのかしら、昨日と今日で何かが変わったのかしら、こうやって毎日が過ぎていって、わたしの何かが少しずつでも変わっていっているのかしら、それとも少しずつわたしは削られ、徐々になくなっていっているだけなのかしら、そんなことを思いながら、同時に線路の向こう側からやってくる深く帽子をかぶった男を警戒する信世は、自転車の前カゴに入れたカバンに手をかけた。