Shin Yamagata

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6月12日
帰りは雨かと覚悟していたのだけど、降っていない。出かける前は本を読んでいた。久しぶりに、いわゆる、エンタメ、と呼ばれる小説を手に取った。何がいったいエンタメなのか、という問いを意識しつつ読み進める。だけど、読んでいるうちに物語の展開にのめり込んでしまい、何がエンタメなのかという問いが消えている。なるほど、これがエンタメの力か、とは思わない。いわゆる、純文学、と呼ばれる小説を読んでいてもそうなってしまうからだ。わたしは読書が下手なのだろうか、それとも猛烈にうまいのだろうか。写真を見るときはどうだろうかと考える。小説を読むときとは明らかに違って、分析してしまっている。何が写っているのかはもちろん、光を見て構図を見て写真の歴史まで持ち出して見てしまうこともあるし、写っているものが呼び込みうる社会的な意味を網羅しようとまでしてしまう。こんな風にしか写真を見ることができないのはやっぱり不幸なのだろうか、きっと不幸だ。しかし、希望がある。わたしはもの忘れがひどい。近年ますますひどくなっている。以前と比べれば、何かがすっぽりと抜け落ちた状態で写真を見ることができるようになっている気がしないでもない。一周回っていろんなことがどうでもよくなって忘れてしまって、そして、そのことは撮影することにも影