Shin Yamagata

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4月14日
あれっ? と思った。なんかぶれるし変な音も聞こえる気がする、もしや、と思って原付をとめた。数日前、なんとなく後輪を見てみたら、中央の溝がすっかりなくなるまですり減っていて、慌ててバイク屋にタイヤを注文したところだった。案の定パンクしていた。はじめてパンクした。車が一台だけ通れる幅しかなく、鬱蒼とした木々が頭上を覆う道で、小さな落石がたくさん落ちていた。その落石を踏んでたぶんパンクしてしまった。すでに国道からずいぶん離れてしまっていた。行き止まりの集落まであと少しというところまできていたから、とりあえず、怪我もないし原付も動かないことはないから撮影しようと思った。原付をとめて、行き止まりの集落まで歩き、撮影を終えて原付まで戻って、どうしようかと考えた。ひとまず、手前の集落まで戻ってみようと、エンジンをかけて原付を押しながら少しずつアクセルをふかして歩いていた。国道までたぶん10キロはないだろうから、なんとか国道くらいまでは戻れるだろうかとか、やっぱりこのまま押して歩くのはつらいなとか、せっかく天気がいいのに台無しだとか、とりとめもないことばかり考えて歩いていると、20メートルほど先の右側の山から、トットンッ、とカモシカが道路に降りたった。すぐにこちらに気づいたカモシカと目が合った。3秒くらい見つめ合った、もしかして、こっちに突進とかしてくるのか? と思ったところで、左側の急な斜面に姿を消してどこかへ下っていった。カモシカが降りたったところまで原付を押して