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3月3日
晴れていたあたたかい。川沿いを自転車で走っていると、小さな虫の群が顔にぶつかってくる。ユスリカ？　こういう虫が目の前を飛んでいるとだいたい明日は雨で、だからその虫を捕まえるツバメが低く飛ぶと明日は雨だ、ではなくて、昔からツバメが低く飛ぶと雨だと言われていて、それはツバメが捕まえる虫が低く飛んでいるからで、だから虫が低いところにいると明日は雨だという、いや、東京に住むようになってツバメを見なくなって、だからツバメが低く飛んでいる光景を目にしなくなった代わりに虫を見るようになって、だから虫が低いところを飛んでいたら雨だということなのだけど。税務署は想像したよりも空いていた。短い列に並ぶとすぐに順番がまわってきて終わった。古着屋に立ち寄った。何も買わなかった。踏切を越えて古本屋に向かった。赤瀬川原平、綿矢りさ、内田百間の三冊を買った。古本屋の近くのパン屋には寄らなかった。帰りは川沿いを通らない。商店街を抜けて大きな道路を渡り、かつて賑わっていたのかもしれない商店街の面影を残す緩い上り坂をのぼって