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11月6日
待ち合わせの場所に着くと、すでに席に座ってコーヒーを飲んでいた。数年ぶりのはずだけど何も変わっていない。手だけで挨拶をして注文カウンターの列に並ぶ。前に並んだおじさんが、MだといったのにSがでてきた、と文句を言っているのだけど、おじさんがSと言ったのはわたしにもはっきりと聞こえていた。わたしはしっかりと口を動かして「エ・ス」と注文した。店員の若い女はおじさんにいちゃもんをつけられたからなのか、視線を合わさず無愛想な表情でおつりを渡してきた。おじさんに渡しそびれたSが出てきたとしてもわたしは文句も言わずに受け取るのだけど、新しく淹れたコーヒーが出てきた。ソーサーを片手で持つと、震えてカタカタと音がなる。久しぶりに会うのにカタカタと席につくのもなんだか嫌だと思って財布を持ったもう一方の手をソーサーに添えてゆっくりと歩きだしたのだけど、砂糖とミルクを忘れたと