Shin Yamagata

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1月13日
久しぶりに東京都写真美術館に行って展覧会を見た。新進作家の「小さいながらもたしかなこと」という展覧会だ。タイトルからわかるように、どんな写真が選ばれても、なんとかなりそうな展示だ。自然を扱ったものでも社会問題を扱ったものでも個人的なことを扱ったものでも「小さいながらもたしかなこと」と冠をかぶせばなんとなく成り立ってしまう、そんな言葉のチョイスに、才能を感じる、わけがない。ホームページを見ても、この展覧会を企画したのが誰なのかはわからない(https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3098.html)。隅々まで見て、ようやく、ああ、この人なのかな、というところにまではたどり着いた。学芸員はあくまでも「影の存在」ということらしい。一昔前の新聞記事と同じだ。無記名の記事。無記名の展覧会。「担当学芸員」が何歳かもわからない。名前から、男だと推察できる。でも男だとは限らない。ホームページ上にはたいしたことは書かれていない。「わたしたちに、今を生き抜く勇気や希望を与えてくれます」などとは書かれている。こんな紋切り型の言葉を使っている時点で、わたしはこの言葉を使用した人間を信用することができない。しかし、この言葉を書いた人間が誰なのかもわからない。わからないことだらけだ。
この展覧会を他の人はどう思っているのだろうか。とりあえず検索した。このSNSの時代だ。誰かが何かを書いているだろう。誰も何も書いてなかった。もっと矢印をクリックしてどんどん先へ進めば、誰かがブログなどを書いているのかもしれない。だけど、そこまでして見る気のないわたしはクリックをすぐにやめた。わたしの知らないところで話題沸騰なのかもしれない、そう思ってすぐに、さすがにそれはないだろう、と思い直した。写真展が話題沸騰! なんて聞いたことがなかった。
展示されている写真を見た。よくわからない。写真を見るだけでは、もはや、何かよくわからない展示だ。写真展というのは写真を見るだけで何かが伝わるものだと思っているようではダメなようだ、ほんとうか? わたしは展示会場に掲げられた文章はほとんど読まない。でも、写真を見ても何もわからないのだから、仕方なく、読みたくはないけど、仕方なく、壁に貼り付けてある文章を、同時に、入場前にわたされた紙の資料まで、読んでみた。読んで、写真を見た。なるほど、なるほど、やっぱりわからない。わたしはバカになってしまったのかと不安になってきた。書いてあることはだいたいわかる。それと展示されている写真が結びつかない。頭の中でどんなアクロバティックなことをしなければならないのかと考える。アクロバティックなことを繰り返して着地するよりも、わたしがバカなのだと考えた方がやっぱり早かった。わたしはバカです。わたしはバカだからカメラを光学機器だと思っている。光学機器というのは、社会問題やある考えを写す前に光を写した。
偶然、ある女子中学生にこの写真展を見た感想を聞く機会を得た。さっそく聞いてみた。「全然わかりませんでした!」女の子は元気に明るく笑顔で答えた。わたしがバカならこの女子中学生もバカということになるはずだった、ほんとうか?
そして、これは前にもここに書いたことだけど、「CINRA.NETに本展が紹介されました」とこのページ(https://www.cinra.net/report/201812-yumeminemu)がリンクされているけど、「PR」とある。これはつまり、宣伝のために東京都写真美術館がお金を支払いこの記事をCINRA.NETに書かせた、ということなのではないのか? なのに「紹介されました」というのはどういうことなのか、これは新手の詐欺なのか?