Shin Yamagata

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3月6日
わたしは疲れていたのかもしれなかった。いや、疲れていた。だけどそのときのわたしは疲れていると思う暇もないほどに疲れていたのだと思う。地下鉄の窓ガラスに映るわたしの顔はおばけみたいだった。目の下は黒い。髪はボサボサ。眉毛は消えかかっていた。カバンの中で震えているスマホはどうせあのセクハラ上司からのメールに決まっている。もうスマホを捨てたい。前に座っている酔っ払って寝ているおっさんもどうせ飲み会でセクハラしてきた帰りだろう。股間に膝蹴りを食らわせたいところだが、このおっさんにわたしが何かをされたわけではない。