Shin Yamagata

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4月13日 桜がたくさん咲いている集落だ。坂を上っていく。満開になっているひときわ大きな桜の根元に「○○桜87歳」と書かれた杭が打ち込まれている。いったん下り、また別の道を上っていく。その先の桜の根元にも「○○桜94歳」と書かれた杭が打ち込まれている…

3月6日 あれっと思ったら後輪の空気が抜けていた。自転車を降りてタイヤをよく見ると金色の画鋲が刺さっている。画鋲を引き抜き、近くに自転車屋はあったかなと頭を巡らせながら自転車を押して歩き始める。それからはっとした。引き抜いた画鋲をくっそーと思…

4月28日 右足にも左足にも両方の足に点々とできていたかさぶたが剥がれはじめ、朝起きると敷布団にかさぶたが散らばっている。触ると痛痒く、剥がれそうで剥がれないかさぶたがぶらぶらとくっつき、ふとしたときに痒みを生じさせている。めくれたかさぶたの…

8月12日 昼過ぎから雷鳴。1時間後には降り出す。雨が落ち着いたと思って家を出てしばらく歩くとまた降ってきた。大粒の雨で傘をさしていても下半身がどんどん濡れてくる。雨宿りしようと近くのお寺に寄ると、お墓参りに来ていた人たちが軒下を占領していて居…

3月10日 夜になって雨が降りはじめた。路面が街灯でてらてらと濡れ光っている。前からくる自転車のライトが上を向きすぎていてまぶしい。路面に黒い塊がある。カエルだ。ヒキガエル。ついこのあいだ、車に轢かれてぺちゃんこにつぶれたカエルを見た。その少…

12月11日 緊急事態だ、緊急事態だ、そうだ、あいつに電話するしかない、電話に出ない可能性が高い、やっぱり電話にでない。移動だ、移動、コンビニだ、コンビニに行くしかない。それ以前にどこかに電波が飛んでいるかもしれない。無料Wi-Fiを探さなければな…

9月16日 この場所は一年ぶりくらいだろうか、懐かしさはない。砂利道を避けて舗装された道を歩く。街の喧騒は大きな木々に遮られすぐに届かなくなる。山のにおいが漂ってくる。人工の森はすでに人の手からほとんど離れている。その森をなんと呼べばいいのか…

12月30日 仕事場に持ち込まれる、インチキくさい心理学というか、インチキくさいスピリチュアルというか、出会いとか、運命とか、エネルギーとか、必然とか、タイミングとか、迷いとか、喜びとか、感謝とか、そういう言葉を散りばめられたセリフというか、偶…

3月22日 鎌倉に池田葉子さんの写真展を見にいく(https://www.kamakura.gallery)。道路沿いの桜がほんの少し咲いている。画廊の前に出されている椅子に座っていると鶯の声が聞こえる。ホーゥホケケ。まだきちんと鳴けていない。写真を堪能して画廊を出て坂…

9月9日 カシューナッツを随分前にもらったのだけど、そのまま食べる以外にどう使っていいのかわからず、すり潰して柑橘やオイルを混ぜてペーストにして塩で味を整えて焼いた鶏肉なんかに付けて食べれば? みたいなのをフランス料理の専門家に教わったりはし…

2月14日 もう50歳にもなろうというおっさんやおばはんが、アホみたいな政治家がアホな顔でアホなことしか言わないこんな国に住んでいてつらい、なんて言うと、バカな政治家というか総理大臣のおっさんが、おれやわたしらもやらないようなアホみたいなやり…

10月23日 オリーブオイルとココナッツオイルがある。それらを適度に混ぜ、卵黄と少しの牛乳を加え泡立て器でかき混ぜる。白っぽくなってきたところへ砂糖を加えさらに混ぜる。ベーキングパウダーをひとつまみ加えておいた小麦粉とくるみとアーモンドを砕いた…

今月の言葉

10月23日 玄関を出たら雨が降っていた。起きてカーテンを開けて見た空は曇ってはいたものの、すぐに降るといった感じではなかった。だからその突然さに驚いた。突然だな、突然だな、何度もそう思いながら傘をさして歩きだした。子供を幼稚園か保育園かに預け…

9月12日 英語は話せない、パソコンを二台並べてお互いGoogle翻訳のページを開く、これは便利だ、トロいけど会話ができる。日本語を打ち込めば英語にしてくれるし、相手の英語は日本語になる、お互い住んでいたところの地図をグーグルマップで見せ合う。航空…

11月22日 寒くなったからか、風邪っぽい。暖房を入れようと思ってリモコンを手に取り、スイッチオン。運転切替ボタンを押して冷房から暖房へ。最後に冷房を入れたのはいつだったのだろうかと考えているうちにエアコンの様子がおかしいことに気がつく。タイマ…

11月25日 男も女も子供もそこにいる全員がカメラを構えて同じ方向を向いている。木にたくさんの電球が取り付けられたけやき坂という通りとその向こうのオレンジ色に輝く東京タワーを同じ画面におさめることができる少し高くなった場所だ。その場所には街灯の…

7月25日 朝出かけて一度帰宅し、またすぐ出かけ、夕方出先からまた別の場所へ移動して帰宅し、薄暗くなりはじめた頃にまた出かけた。もう電車にも原付にも乗らない。徒歩だ。歩道には人がたくさん歩いている。その人たちと同じ方向に歩いていく。みんなが向…

1月16日 陸橋を下る先にテールランプの長い列が見える。陸橋を下り終えたところから車の隙間を縫っていく。先の信号が青に変わる。バスが指示器を出す。タクシーのうしろは走りたくないから、タクシーを追い抜く。でかいバイクが猛烈な音とスピードで追い越…

2月13日 大型犬と一緒に暮らしたいから夫とは別居をする、という妻を前に、その夫は、リスクを背負って冒険しなければ人生はつまらない、などと言う。別居するまでに三年の猶予が与えられている夫が、はたしてリスクを背負って冒険するのかどうかはわからな…

8月9日 アブラゼミは茶色い。茶色いというイメージしかない。ジージーという鳴き声もなんとなくぱっとしないし、捕まえてもあまりうれしくないセミだった。民家の軒下に入ったときだった。どこにいたのか、バタバタと大きな羽音を立てて飛び立ったアブラゼミ…

8月29日 対岸の斜面にへばりついている集落を眺めながら、このあたり唯一の自動販売機で買った缶コーヒーを飲んでいた。一台の軽トラがすぐ横でとまり、眼鏡をかけたおばさんが下りてきた。どこからきましたん? だいたいいつもこんな感じで会話がはじまる。…

9月6日 自転車に乗って踏切を渡る。この道を通るのは久しぶりだ。踏切を渡った目の前は信号のない交差点になっていて、踏切以外の道はすべて一時停止になっている。線路沿いのまっすぐな道をはじめて通る人は大抵この一時停止に気づかない。止まれという赤い…

2月16日 ごっこ、と表示された魚が売っているけどはじめて見た。半額になって350円くらいか。3つ売れ残っている。大きさはバレーボールをひとまわり小さくしたくらいだろうか。丸くて黒っぽい。ラップの上から指で押してみるとぶよぶよしている。切り身では…

11月24日 昨日はビルの二十五階から海を眺めた。横浜ベイブリッジが見えてその向こうに房総半島まで見渡せた。東京スカイツリーも見えたらしいが、わたしは見ていない。今日は船の上からレインボーブリッジを見上げ、赤くなった空にシルエットとなって浮かぶ…

2月28日 いつもは向かう方向とは反対側の三駅目の駅で降りた。この駅で降りたのははじめてだった。飲食店やパン屋や花屋など、様々な店が改札を出た目の前に連なっている。駅ビルなんてないと思い込んでいたからその賑やかさにまず驚いた。南口へ出ると大き…

6月16日 晴れているのに薄暗いのは真上に高速道路が通っているからだ。片側三車線もあるから横断歩道がやたらに長い。白人の男女、東南アジア系の団体、それから日本人っぽいけど中国人かもしれない人たちとすれ違う。全員の顔をとりあえず見た。すぐに忘れ…

今月の言葉

7月18日 犬が雷を怖がるから、怖がる犬の面倒を見なければならなかった。外では雹が降っていたとあとで知ることになるが、そのときはカーテンを締め切っていたし、なるべく雷の音が響かないようにラジオを大音量で流していたから、雹が降っていることなど気…