Shin Yamagata

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3月11日
いつも通る道から一本逸れた道を通ると、梅の木がずらっと並んでいて白い花をたくさん咲かせていた。ここに梅の木があることをすっかり忘れていた。夜でも白い花はよく見えるし、梅の香りも漂っていた。昼間よりも香りが強いような気がするのは、周りが暗くてよく見えない分、鼻に神経が集中しているからなのかもしれなかった。そもそも、夜には蝶も蜂も飛んでいないのだから、梅は香りを出す必要がない。明るいうちにどんどん香りを出して蝶や蜂を引きつけた方がいいに決まってると思ったのだけど、夜に来る昆虫もいるのかもしれなかった。その前に、蝶や蜂は香りで花に近づいているのだろうか。花に色があるのは視覚で引きつけるためだったような気がするし、花の形が葉と違うのも同じ理由なような気がするし、無意味に香りを発しているわけはないだろうからやっぱり受粉のためなんだろうとは思うのだけど、全部がはっきりとせずあやふやだった。ひとまず、梅の花に近づいて、夜に集まってきている昆虫がいないかどうか探してみることにした。観察だ。写真の基本も観察だと思っているのだけど、そう思っている人はあまりいないようで、愛だとか社会問題だとか、その周辺の言葉とくっつきやすい写真は