Shin Yamagata

お知らせ  zine  Twitter   Instagram


 






1月4日
自転車で40分くらいのところにあるマクドナルドに行った。ここまでくれば広くてソファーなんかも置いてあるような店なのではないかと思っていたのだけど、店内は狭く、テーブルもぎゅうぎゅうに詰められていて、座面が合板のカチカチの椅子しかなかった。正月も落ち着いたからか店内は混み合っていて、注文するにも並ばなければならなかった。順番がまわってきてホットコーヒーを頼むと「オテモチデスカ?」と店員に言われた。高校生か大学生か、若い女の店員だった。外国人ではなかった。何を言われているのかわからなかった。言葉に詰まった。「お手持ち」と頭の中で漢字に直してもわからなかった。上を見て、見なくてもいいメニューを見た。三秒くらいじっとしていたかもしれない。やっと出た言葉が「オテモチとは?」だった。「手で持たれますか?」と女の店員が言い直した。持つに決まってるでしょ、と思ったけど言わなかったし、何を聞こうとしているのかわからなかった。また三秒くらいじっとしていたかもしれない。女の店員を見た。めんどくさそうだった。マスクをしていてもそれはわかった。「店内で飲みます」と聞いてきたこととは別のことを答えた。女の店員はそれ以上何も言わなかった。聞き分けがなくてどうでもいいことで店員などに絡んでいるおっさんをたまに見かけるけど、もしかして今まさにそういうおっさんになりかけていたのかもしれない、と不安になった。女の店員は何も言わずにレシートを渡してきた。お持ち帰りですか? ならわかるけど、オテモチとかはじめて聞いたし、オテモチという言葉があるのかどうかもわからないし、それに、オテモチという言葉に反応できなくて固まってしまうその反射神経の鈍さがもう