Shin Yamagata

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写真展






ギャラリーに入って写真を見ようとする。ピントが合っていない写真がある。どの写真もピントが合っていない。だから写っているものが何かはよく見えない。なんとなくしかわからない。なんとなく何かはわかる。こういう写真を目の当たりにするとどうしようか、という少し不安な気持ちになる。僕はピントの合っている写真を撮るから。どうしようか、というのはどう見ようかということだと思う。そんなことを思いながら見ていると、色が滲んでいるのが見えてくる。像がボケて輪郭が滲んでいるのではなくて、色が滲んでいるのが見えてくる。おお、って思う。光が写っていると思う。光がきれいだなと思う。次の写真に目を移していく。あるところでまた、おお、って思う。これは写真に見えないなと思う。絵だなと思う。近づくと写真に見えるけど、少し離れてみると絵にしか見えないなと思う。筆のタッチが見えてきそうだなと思う。ボケているのかなんなのかだんだんどうでもよくなってくる。写真なのかどうなのかがどうでもよくなってきている、ということかもしれない。見る、ということが単純におもしろくなってくる。見るということが簡単などこかに落ち込んでいかない。落ち込んでしまうポケットが見当たらないから、見ることが続いてしまう。
国分寺駅の近くにあるswitch pointというギャラリーで佐野陽一さんの写真展を見た。
http://www.switch-point.com/2009/0906sano.html


上にある3枚の写真はもちろん佐野さんの写真じゃない。この写真は
佐野さんの写真展を見に行く前に近所の畑に飛んでいた蝶を撮ろうと
思って失敗した写真。前に糸崎さん(http://www.itozaki.com/
に何か蛾のような虫が飛んでいる最中のクローズアップの写真を見せ
てもらって、すごいなーと思って、あんなの撮りたいなーと思って、
挑戦してみたけど、一枚も撮れなかった。かすりもしなかった。
だいたい蝶は動き方がおかし過ぎる。あんな風にまったく予想も出来
ないような動きをされるとまったく撮れない。それに完全に蝶はこっ
ちの動きを察知していて、ヒラリヒラリとかわしていくから、近づく
ことも困難だった。網で捕まえるのとは全然違って無理だと思った。

結局こんなしょぼい蝶の写真しか撮れない。飛んでないし、ピンとも合わない。