Shin Yamagata

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茶店で本を読んでいてキリのいいところまできたので顔を上げて窓から外を見た。その日はよく晴れていて、太陽の光がよく当たっている駅ビルの壁が見えるけど、光が当たりすぎていて、というか、いつもこの壁に光は当たっているだろうし、光が当たりすぎているという言い方がおかしくて、いつもと同じように当たっているのだろうけど、っと、同じことを書いてしまっているけれど、とにかく光がパーっと目に飛び込んできて、壁を見ているというよりは光を見ているという感覚に近いのかもしれないということを書きたかった。そして街灯の影も少し変な形に伸びてその壁に落ちていて、その辺り全体がさらにまぶしく見えるように思えてしまう。いつから冬の日差しではなくなってしまったのだろうか。再び本のページに目を移し読もうとしたけど、そのページの白さがくすんで見えてしまい、数秒前まで見ていた外のまぶしい風景が懐かしくなり、また顔を上げて外を眺めてしまう。外に出たい、という気持ちが少し湧き上がってきたけど、とにかくそのまままた目で文字を追い始め、外を眺めたいとか外に出たいという誘惑を押さえ込みながら、本の内容に集中しようと努力した。そしてまたキリのいいところにきたので顔を上げて窓から外を眺めてみると、壁に落ちている街灯の影の位置がずれていて、あともう少し進むとビルの壁面から外れてしまうようなところまで進んできていた。そういうのを見てしまうともう外に出たいという欲求は抑えられなくなってしまい、本を閉じて外に出ることになった。外に出てみると見ていた感じとは違って気温が低く、そして外に出たからといって何もすることはなかったのでそのまま家に帰ることになった。