Shin Yamagata

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フェリー












8月1日 曇り
有明埠頭からフェリーに乗る。観覧車が2つ見えるはずなのに3つ見えたからおかしいなと思ったら1つは花火だった。
8月2日 雨のち晴れ
朝方、雨が降ったみたいで甲板に水溜りができていた。高いところの薄い雲の間から少しだけ青い空が見えていた。甲板は思いのほか気持ちよく、硬い寝床で痛くなってしまった腰をひねったり伸ばしたりしていた。
8月3日 晴れ時々曇り
暑さに負けて日陰に座り込んだら蚊が一斉に集まってきたので、休憩ができないまままた歩かなければならなかった。
8月4日 晴れ時々曇り
いかにも夕立というような夕立があった。虹が出た。
8月5日 晴れ後曇りのち雨
少し雨が降ってきたけど、空も明るかったしこれ以上降ることはないと思いながら、遠くの山を見たら雨の降る兆しが見えたので、ヘルメットのことを思い出し、原付のところに急いで戻った。ギリギリ間に合ってヘルメットは濡れなかったし、自身も濡れずにすんだ。けど雨は1時間半経っても止まなかった。






朝起きて甲板に出てぼんやりしてると海面に何か動くものが見えた。もしかして、と思って海面をじっと見てたらビュッて飛び出てきた。トビウオ。スーパーに並んでいるトビウオは見たことあったけど、実際に飛んでいるトビウオは初めて見た。上手にできた紙飛行機がまっすぐにいつまでも飛ぶような感じで、海面スレスレをいつまでも飛んでいた。たまにいっぺんに10匹くらい飛び出てきて扇形に飛んでいくのが見ていて気持ちよかった。甲板から見ているしトビウオはフェリーからどんどん離れていくので、どんな様子で飛んでいるのかはぜんぜんわからなかった。ヒレを広げている様子もうまく見えない。顔ももちろん見えない。でもどんな風に飛んでいるのかもっと見たくて仕方なかった。どんなによく見ようとしても距離がありすぎて何もわからない。トビウオはビュッと海面から出るとスーとまっすぐに海面の上を滑るように進みシュポッて海に戻っていく。100メートルとか200メートルは余裕で飛んでいる。あいつはいつまで飛んでるんやというくらい、小さな点にしか見えなくなるようなところまで飛ぶやつもいる。でもあいつらはえら呼吸なのできっと飛んでいる間は息を止めていることになる。長く息を止めることができるやつが遠くまで行くのだろうか。甲板に石ころが落ちていたら迷わず飛んでるトビウオめがけて石を投げつけただろうと思う。