Shin Yamagata

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曇り




曇っていた。朝起きて、洗濯しようとは思わなかった。全体が灰色なのがうれしくてカメラを持ち出してしまう人がいる。紅葉した葉は確かに赤や黄色をしているが、灰色の中では赤も黄色もただそこに何か色がある、という程度にしか見えないのはここが住宅街でその住宅が全体的に灰色に近いのは曇りの日に溶け込みたいからだろうか。久しぶりに通った道には新しいスーパーマーケットが出来ていたし、そこにかつて何があったのかなんてもうわからなかった。スーパーマーケットもピカピカしているし、その横にある駐車場にはほとんど車は止まっていなかった。そういう光景は一瞬で通り過ぎ、その次には懐かしい風景がいきなり目に飛び込んでくる。懐かしさは共有されすぎた世の中だから、と嘆く人はいた。やはり曇りでも洗濯すべきだったのか。