Shin Yamagata

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ペットボトル




外へ出ると、寒いなあと思う。なかなかすっきりと気持ちよく晴れない日も続いているし、たまにあったかい日もあったりするけど、桜はもうあちこちで咲きまくっているし、なのにまだまだ寒いなあということでもなく、なんとなく体というのか、頭の中というのか、全体的にあたたかさへ向かおうとする志向が強いというのか、なんならもう日焼け止めをぬって真夏の太陽の下を歩いているようなところまで向かってしまうというか、この寒さがただ単に嫌なのか、もっと体が軽くフワフワ浮いてしまうくらいに動きたいというのか、真夏の暑さの下で暑くてすぐに体力がなくなって思うように歩いていけない、すぐに日陰で休憩したくなってしまう、常に水分を持っていないと安心して歩けない、だって、自動販売機さえもこの辺にはないんだもの、ぬるくなったペットボトルに入っているスポーツドリンクをとりあえず飲むしかないし、そういう時は冷たい飲み物への憧れというのも多少はあるのかもしれないけど、その辺からちょろちょろ出ている冷たくておいしそうな水は飲んでいいのか悪いのか、飲んで急にお腹が痛くなってしまうことはないだろうけど、明日お腹が痛くなるかもしれないからやっぱりこういう水は飲めないな、とかあの大きな木の下の日陰は気持ちよさそうだと思ってその日陰に入ったら、本当に涼しくて風とかもふわ〜って吹いてきたりして、ああ、このまま撮影なんかしないで、ここで今この目の前に広がっている光景をただ眺めていたいと思ってしまうというのか、川へ降りたところで撮影なんてしないのだけど、ただ川の流れるさまを水の音を聞きながらただただ眺めてしまうというのか、寒いなあと思っているどこかにはこのようなことがもう全部含まれているような気がした。