Shin Yamagata

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献立




毎日少しずつ変わっているのにまったく気付かずに、相変わらずだ、いつになったらもう少し長くなるのか、昨日までそう思っていたのに、突然、ずいぶん日が長くなったなぁと思ったりする。その原因はどこにあるのかと頭の中で色々探ってみると、何かがあるような気がするだけで具体的には何もわからない、そういう話をしたときに、実はわたしもあなたがそう思った日に、ずいぶん日が長くなったなと同じように思った。もしかしたらその日から本当に日が急に長くなったのかもしれないと思いたくなる。薄暗い、けれどまだ空だけは明るく、昼間にはなかった、空の色よりは濃くむらのある紫色の雲がビルとマンションの黒い影の隙間から見ていた。歩いた、その先の交差点の右側から自転車に乗ったおじさんが一時停止をして立ち止まったその前を通り過ぎていくおばさんの首に巻いている赤いマフラーと、そのおばさんの向こう側にある赤い看板とが重なって見える(薄暗くて赤い色には見えていないはずなのに赤く見えているはずだった)位置に立っていたその子どもは空を見上げて一番星を探している。あの冷蔵庫の中にいつまでも入っている大根を今日はなんとしても使いきろうと、頭の中で晩御飯の献立を考えているのだった。