Shin Yamagata

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5月




「夕方」ってのはこういうのだったと思った。5月の展示の間、仕事以外の日はギャラリーに行っていて、そうするとギャラリーを出るのは7時を過ぎることになる。7時を過ぎてもまだほんのりと明るかったけど、それは夕方というよりも夜になりかけという感じで明るさよりも暗さのほうが勝っていた。5月の間は「夕方」を経験することがなかった、そういうことを思っていた。6時過ぎくらいに外へ出た。まだこんなに明るいのかと思った。同時に何かを思い出しそうで何も思い出さないような感覚が出てきた。こういう夕方があったなと思った。「こういう夕方」の中には去年の6月頃の夕方もあっただろうし、小さい頃の6月の夕方もあったのだと思う。それはしばらくしてから去年のことや小さい頃のことを思い出し始めたから、後になってそうだったのだろうと思っただけで、実際のことはわからない。それがその日の「夕方」だった。それにしても展示が始まる前の5月の前半は何をしていたのだろうか。もう思い出せない。