Shin Yamagata

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クレパス




絵を見ながらそういえば小さい頃、小学校へ入る前、わたしは絵が描けない子どもだったということを思い出した。絵を描く時間がたまらなく嫌だったのをよく覚えている。嫌なのに何か描かなければならないから何をしていたかと言えば、クレパスの何かの色でぐしゃぐしゃぐしゃと画用紙の適当なところに小さな円を塗り潰したようなものを描いて、別の色のクレパスでその上から同じようにぐしゃぐしゃぐしゃと色を塗る。そうやって別の色が現れることが楽しくて、いや、本当に楽しかったのだろうか、ただ時間を潰すためにそんなことをしていたのかもしれなかった、とにかくそうやって時間を潰すしかなかった。ある時に人の顔を描けと言われ、とにかくなんとなく描いたけど、耳が描けない。耳ってどうなってるのかよくわからなかったからそんなものは描けない、描けないというか、描くべきものではない、いや、耳は気持ち悪いくらいぐにゃっとしていて描けるわけがなかった。
つづく