Shin Yamagata

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10月13日




鼻の下の髭を唇側に細く整え、白いパンツに紺色のチェック柄のジャケット、靴下は履かずに茶を基調としたデッキシューズを黒く日に焼けた足首を覗かせながら履いている男がやってきた。左手首には文字盤がやたらと大きな腕時計をはめ、右手首には革紐が巻きつけてある。三十歳過ぎだろうか。どこかのブランドの長財布をテーブルの上に投げ出し席に着いた男はコーヒーを一口飲んで煙草に火をつけた。この手の格好をする人間と接点がないのだからこの手の人間がどうやって生きているのか気になるし、だからといってこの手の格好をする人間が好きかといえば嫌いな部類に入るのだし、つまりどことなくエグザイル的な格好をしたというか、エグザイルとは少し違うのかもしれないのだけどなんと名付ければよいのか、冬でも日に焼けていそうで小奇麗というか小汚いというか何風なのかわからないのだけど何か風なのだろうと思われるこの手の格好をしている男から目が離せなくなって見ているとこちらに気付いた何か風の男と目が合った。目が合ったけどすぐに何か風の男は目を逸らせた。その同じときにわたしも目を逸らせばよかったのに見続けていたものだから何か風の男はすぐにチッという表情を作ってこちらを睨んできた。だからわたしは益々目が離せなくなった。