Shin Yamagata

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12月7日




ビルの通用門から入って地下二階へ続く階段を下りると細長く真っ直ぐに伸びた廊下がある。その廊下には部屋へと通じる扉がなく白い壁に囲まれた細長い道が続いているだけだ。しかしそれを白いヘビのお腹の中を歩いているようだ、などと例えてはいけない。白い壁に囲まれた細長い廊下を滅菌されたような近未来的無機的な空間だと勘違いしてもいけない。その廊下ですれ違う人は知っている人も知らない人も挨拶を交わす。「おはようございます。」「おつかれさまです。」たまに見たこともない美人とすれ違うこともある。美人はほどいた髪をなびかせて歩き、真っ直ぐ前を見たままわたしの方などちらりとも見ずに「さようなら」と言うのだ。