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6月2日
午後から風が強くなり、カラッと乾いた空気に入れ替わった。爽やかな空気の中を悪が歩いていた。何食わぬ顔で、善良な市民気取りの足取りで悪が歩いていた。目をギロリとひん剥き、鼻の穴を前方へ向け、日陰をのしのしと歩いている。今日の悪は日陰を歩いていた。今日の悪は平気で嘘をついた。嘘をつき、人を貶めるのが得意だった。貶められた人の心の中には鬼が生まれる。悪はその鬼のことなど知らないまま変わらず悪のままだ。悪は別の場所では善の仮面を被った。