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5月20日
携帯電話が壊れてデータが全部なくなって、携帯電話に登録されていた知り合いの連絡先がなくなり、でもほとんど連絡することがなかったのだからこのままでいいか、というか、もう消えたものは仕方がなく、でもしかし、金を払えばデータを復旧できるかもということだけど、そこまでして欲しいデータでもないから、やっぱりこのままでいい。それでも、遠方にいる知り合いだけにはハガキを書いて事情を伝えた。ハガキは、昔に印画紙に焼いたモノクロ写真のハガキが何枚か残っていたのを思い出し、それを探し出した。文字を書く面の端がほんの少し黄ばんでいたけど、写真はきれいなままだった。つながれていない犬が道の真ん中に、正面ではなく45度ほど斜めに向いて立ち、視線もそっちを向いていて、写真機を構えているかつてのわたしを犬は完全に無視している。背景には家、家のさらに向こうに山が見えている。曇っていて影がなく、木の葉が落ちているから季節はたぶん冬。ちょうど道は緩いカーブを描いていて