Shin Yamagata

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川沿いに植えられている桜の木はまだまだ咲きそうにはなかった。もう昼を過ぎたというのに日陰の水たまりにはまだ薄い氷が張っている。落ちていた小枝をその水たまりに落とすとすぐにでも割れそうな氷は割れずに小枝は氷の上で二、三度跳ねた。少し先の道の上を尾っぽの長い白と黒の二色の小さな鳥が歩いている。近づくとパタパタと真上に飛び上がり屋根の上で長い尾っぽを振っている。畑や田んぼがひろがり、民家もほとんどなく、遠くに低い山の稜線が見えるだけだから風景は横へ横へと伸びていく。歩く速度が遅くなった。