うぐいす

午前中のほんの短い時間の間、家の外からうぐいすの鳴く声が聞こえていた。その声は昔の記憶を呼び起こそうとするし、少し気を緩めると緑に覆われた山の中のどこかから聞こえてきているような情景も浮かんでくるけど、ここは東京にある一般的な住宅街で窓を開けても隣のマンションが空を塞いでいる景色しか見えていない。木があまりないようなところなので、もしかしたらうぐいすの姿を見ることが出来るかもしれないと思って、うぐいすの声に耳を澄ませていたけど、隣のマンションの屋上のあたりから聞こえているようでうぐいすの姿を見ることはできなかった。うぐいすの鳴き声はまだおぼつかなくて、ホーホケッとか、ケッキョケッとかホケッって具合のが多かったけど、時々ホーホケキョと鳴いていることもあった。