Shin Yamagata

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9月19日


最後に現れたのが美人の寺山だった。最後というのは11人目ということで、空いている席はわたしの隣の席なので美人の寺山はわたしの右隣へ座った。左隣には最若手の村岡が座っているが、最若手という座を譲らねばならぬ時期にさしかかっている事を如実に示す人物が現れなくもなかったが、それはまだわからないことだった。沖縄料理屋ということで、ビールを頼む人はもれなくオリオンビールを頼んでいたし、サワーを頼む人は「シークヮーサー」と声を出し、ソフトドリンクを頼む人は「パイナップルジュースー」や「グァバジュースー」と発音していたにもかかわらず、美人の寺山は「プレミアムモルツ!」を注文して、頼んだにもかかわらず誰も手をつけていなかったしまらっきょをつまんでいたのだった。「わたしぷつぷつしたのだめなんです、だから数の子とかもだめなんです」と言ったおだんご頭の鈴木が食べなかったうみぶどうはすでになく、美人の寺山の口に入ることもなかった。