Shin Yamagata

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9月26日




朝、近所の住宅が密集した住宅街を歩いていると、家の壁にぶつかりまた家の壁にぶつかりと、弱くなりながらも様々な角度の、あるいは様々な材質の壁にぶつかったからなのか、ぽわんと少しぼやけ膨らんだような音が南側にある小学校から聞こえてくる。小学校から聞こえてくるのだからそれらの音は子どもたちの騒がしい声で、何十人か百何十人か程度の子どもの集団がおそらく校庭に出て何かをしているはずで、この季節から推測するにそれは運動会の練習なのだろうと察せられる。数十人の子どもたちが一斉に騒いだとしてそれら一つ一つの声はその発声した子どものすぐ近くにいるならば何を言ったかを聞き取ることも可能かもしれないが、校庭を出てしまうと声は言葉として認識するには輪郭の崩れた単なる音として響き、それらが今わたしの歩いているところに到達するにはさらにぼやけ、長い波長の空気の振動として私の耳に届いているわけだ。