Shin Yamagata

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6月21日




電車の中が蒸し暑くて少し気持ち悪いのは梅雨という気候のせいだけではなく、体調もあまりよくないからだろう。前に座っている女は右に体を傾け寝ている。ただ寝ているというよりはぐったりと疲れていてもうどうしようもないという具合だ。髪が顔に覆いかぶさり女の表情は見えない。駅に電車が到着するたびに寝ている女の体の傾きはなくなり、電車が出発するとまた前と同じように傾く。その女の体の動きはわたしの気分をさらに悪くさせた。わたしはがまんできず駅名を確認せずに電車を降りた。その駅はわたしが降りようと思っていた駅だった。
わたしは急いで地上を目指した。地下にいることにがまんがならない。しかし上りの階段はなくずっと下りの階段を歩き続けている。