Shin Yamagata

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8月5日
あの当時からさびれていた商店街はさらにさびれ、汚れたりかすれたりした文字が残る看板が点在する商店街はただの道路となっていた。よく見ればここはかつて呉服屋、ここは肉屋、あそこは金物屋、と識別できるのだが、県外からの車はこの町から峠を越えさらにもう一つ峠を越えた先にあるレジャーを楽しむための場所へと急いでいる。車の窓からこの町を眺める人たちの目にとまるのは、曲がりくねった見通しの悪い道と道路標識だけで、看板の文字にまで目がいくことはない。商店街だとは気づかないものの、何かの気配を感じるものは少ないながらもいるはずだ。でも何を思うでもなく、出発地と目的地の間にだだっ広く横たわる