Shin Yamagata

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1月16日
遅れてやってきた人妻は青島ビールを頼んだ。カンパーイ。わたしはあったかいプーアル茶が入った湯呑みを突き出した。食べろ食べろと言われて人妻はまだ残っていた空心菜の炒め物やきゅうりやカモ肉のなんだかを皿によそうのだけど、食べる前に話しはじめた。夫が2回目の朝帰りをした。人妻は朝帰りの理由を夫に聞かなかった。夫も朝帰りの理由を人妻に話さなかった。夫からは、ただ、「すいません」とメールが来ただけだった。ええー。聞いていた3人は、なんで? なんで? とテーブルに身を乗り出した。もし、嘘をつかなければならないようなことをしていたのなら、嘘をつかせたくない。人妻の言ったことを要約するとこうだった。こんな風に思うに至ったこれまでのこの人妻の歩んできた人生というものを、話を聞いていた3人は同時に考えはじめていた。人妻は特に深刻な顔をすることもなく、淡々と話し終え、空芯菜に手を伸ばた。おいしい! 満面の笑みを浮かべて顔を上げた人妻は、空芯菜を咀嚼