Shin Yamagata

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今週の常識




国民常識百科事典より
額縁はどう変わってきたか

額縁というものは本来、それ自体が単独で存在するものではない。絵画のスタイルの移り変わり、あるいはその時代の建築様式との調和から生まれると考えられている。独立した絵画に縁をつけるようになったのは、十五・六世紀にかけてのルネサンス時代に、富豪が個人の室内を絵画や鏡で飾るようになってからである。この時代の額縁は総体に四角であったが、六角や八角、または円形などもみられる。
十六世紀末からいわゆるバロック式がはじまる。曲線をむやみにつかったひじょうにぎょうぎょうしい装飾をした建築様式が額縁の上では花や木の葉のつる草模様で取りかこまれた浮き彫りとなって現われ金箔(ぱく)押しのものが多くなる。このころの特徴としては、アンカンサスの葉が印象的に図案化されている。
このバロック式はフランスのロココに受け継がれた。いわゆるルイ式というもので、ここではそれ自体が絵画や建築の一部であるという先入観をすてて、額縁は一個独立した。上下左右がつり合いのとれたこ形(こけい・中をえぐった形)をしたものになった。これらが主流となってヨーロッパ各国の額縁が生まれた。最近では現代絵画の様式と建築様式にしたがって単純な縁がつかわれている。