Shin Yamagata

お知らせ  zine  Twitter   Instagram


 




外へ出たら雨が降っていた。最近の東京は空が青くて雲が浮かんでいない。青いのが常に目に入ってくる。写真を撮ると上部に必ず青い濃い絵の具がべたっと塗られたような写真になる。モノクロだと濃いグレーがべたっとなる。雲がないとべたっとなる。そんなのだから雨が降るなんて思ってもいなかった。雲が多いなとは思っていた。それでも夕方にはその雲も少なくなっていたのは知っていた。日が差してきていた。こんなに雲が多い日は久しぶりだくらいには思っていたし、それにしても今まで本当によく晴れた日が続いていて雨のことなんか全然考えていなかったな、くらいのことは思っていた。曇ると影が出ないというか全体的に影の中だから影が出ていないように感じているだけなんだけども、というか光が差していなくて、といっても光もほんとうは差していてただやわらかいぼんやりとした光が差しているから光が差していないように感じているだけなんだけども、それでも思っていることは光がないなとか影がないなとかそんなことを歩きながらは思っていたりしていたけど、雨が降るってことは少しも考えてはいなかった。雨が降っていると知ったのは雨が体に当たって濡れたからとかではなかった。傘をさして歩いている人がいたからだった。傘をさした人を見て、ええっと思った。雨が降ってるとは思わなかった。ええって思った。ええって思ってから傘がないから濡れるなと思った。