Shin Yamagata

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3月19日




満開を通り越したモクレンの茶色い花弁はアスファルトの上に散らばっている。夏日だという気温まであたためられた空気は蝶を舞わせたし蟻も動かしたし人間も動かした。夜になっても気温はさほど下がらず冬の間は静かだった公園では学生の集団が大きな声を出して黒いシルエットとなって動いている。男女の声が入り混じり、男の何人かははしゃぎ過ぎで芝生の上を転がったりしている。ただ転がりたいのか、メスに対する求愛行動なのかは判然としない。転がっている男の横にはその場に一本だけ立っているモクレンの小さな木の白い花が街灯に照らされて白く光っている。太陽はまだ昇らない。