Shin Yamagata

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11月22日
朝市がはじまる8時半を過ぎたばかりだというのに、通りはすでにたくさんの人で賑わっていた。お店の人はこちらが値切る前に値段を下げてくる。これとこれとこれも買うならいくらにすると、黙っているとどんどん商品が積み上がっていく。昨日見たときにはもう終了していた、無料で開放されている七輪や炭が置かれている場所も人で埋まっていた。だけど、並んでいる人はいない。魚を買って焼くことにした。醤油漬けにされた干物が並んでいる店の前で立ち止まると、おばさんが話しかけてくる。少し話しかけるだけで、どんどん魚が積み上がっていく。いや、こんなにいらないんです、バラで買えますか? そこで焼いて食べるのか? そうです、フグとこのカワハギと、と言うと、おばさんが、カワハギよりこっちの方がおいしい、とイワシをすすめてきた。抵抗せずに受け入れる。これがおいしいと、サバもすすめられ、それもすんなり受け入れた。このイカもお願いします。それは拒否された。イカは3杯まとめてでないと売らないと言う。お願いしますと頭を下げても無理だった。三種類の魚を購入して、先客が魚をジュッと焼いている姿を眺めていると、すぐに順番がまわってきた。七輪で魚を焼くのは子供の頃以来だ。魚の脂が炭に落ちる。懐かしい匂いが立ちのぼってくる。魚をひっくり返すと脂で七輪全体から火が噴き出す。何もかもが懐かしい。まずはサバから。おいしい。めちゃくちゃおいしい。魚を網の端に寄せて、買ったお店に駆けていく。めっちゃうまいです。そやろ。イカ、買います。おばさんが