Shin Yamagata

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7月12日
バスのタイヤが砂利を踏む音が聞こえた。急ごしらえの簡易的な駐車場を警備員の誘導に従ってバスが進んでいく。プーと音がなって扉が開いた。隣で喋っていた女に続いてバスを降りて、そのままその女たちに付いていった。先には大きなテントが張られていた。テントの中は手荷物検査場だった。検温と消毒をして、免許証を提示してマスクをずらされて、バイトのおじさんなのかなんなのかよくわからない人間に顔をチェックされた。飛行場にあるのと同じ、手荷物検査の機械がずらりと並んでいた。トレイにかばんを置いて身に付けている金属もそのトレイに入れて、金属探知機か何かのゲートをくぐった。音は鳴らなかった。かばんに入っていた水筒の飲み物を一口飲めと言われて飲んだ。それで検査が終わった。先ほどの女たちに続いて歩いていく。鉄パイプと鉄板と板でできた簡易的な階段を上って振り返ると誰も付いてきていなかった。この女たちに付いていくことは間違いなのだと気づいて、