Shin Yamagata

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1月2日
正月のどれかの1日くらいはゆっくり寝ていたいと思っていて、それが今日だった。起きたら10時を過ぎていた。カーテンを開けると、もう陽射しがあまり入らなくなっていたけど、わずかに入る光で少しは部屋があたたかくなる。コーヒーをいれて年末にもらったパンを焼いてバターをぬった。噛み切れば、パンから湯気が立ち上る。書いていなかった年賀状を書きはじめるのだけど、ラジオに聞き入ってしまい、しばし手が止まる。もう何年も会っていない遠方の人たちの、すでにどんな顔かも浮かばない、浮かぶのは学生のころの顔だから、もう20年以上の前の顔で、今はおっさんおばはんの顔になっているはずのその人たちの顔は思い浮かばないまま、富山や高知や福岡や大阪の住所を書き込んでいく。

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5月26日
明治通りを原付で南へ進んでいた。池袋を通過したときにはタクシーやバスの動きにたぶん目がいっていて歩道にいる人たちを見ていなかった。新宿を通過したときもそうだったのかもしれない。原宿の手前にカーブがある。カーブを曲がっていると、先の歩道に溢れる人たちがいっせいに目に飛び込んできた。ありんこのようだと思った。比喩でもなんでもない。蟻に見えた。行列を作って巣に餌を運び込んでいる蟻だ。いや、こういうと比喩になってしまう。今まで車道の車ばかり見ていたからか、それともあまりの人の多さになのか、とにかく人が人に見えなかった。地中から湧き出た蟻、それか虫でもいい、とにかく人、という感じではなかった。全員黒っぽい服を着ていたのかもしれない。とにかく人ではなかった。もしかしたら昨日見たゾンビ映画がどこかで影響しているのかもしれない、そう思いながらラフォーレのある、あの人でごった返す交差点を通り過ぎていく。

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4月2日
一区切りついたから散髪に出かけた。三人も待っていたけど、まあいいかと店に入った。入ってすぐに丸坊主の小学生が二人来て、またすぐに白髪交じりのおじさんが一人来て、それから立て続けにさらに二人来た。座る場所がもうないと思ったところで仕上がった一人が帰って、最後に来た人もなんとか椅子に座ることができた。店には髪を切る人が三人いたけど、そのうちの一人がたぶん休憩なのだろうけど店を出て行ってしまう。残された二人は黙々と髪を切っている。黙々と髪を切る二人は焦った様子も見せずに涼しい顔で髪を切っている。待っている客の方は

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6月9日
仕事の帰り、山形県のアンテナショップなのだろうか、そういう店に入ってみた。玉こんにゃくが売っている。買おうかどうか考えてみる。なんとなく旅行気分になるだろうかと思って入ったのだけど、ここは東京で、銀座だった。店を出て歩いていると、今度は広島県のアンテナショップなのだろうか、そういう店があった。レモンなんかが置いてある。尾道からフェリーに乗って何島かもう忘れてしまったけど、瀬戸内海に浮かぶどこかの島に行ったときに、レモンがたくさん植えてあったのを思い出す。朝のフェリーで出かけ、夕方の帰りのフェリーの時間まで歩ける範囲をただ歩いて写真を撮っていたあの頃、わたしのカメラのレンズはレモンに向かうことはなかった。港から山の方へ歩き、レモン畑を横目に見ながら、あのときのわたしは

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7月24日
水を出してもお湯だお湯だと騒いでいる。写真には水がお湯のようにあたたかいことは写らない。写真に写っている、水の中に入っている手は冷たそうだし気持ちよさそうに見えている。写真にはそういうことは写らない。帰宅してもまだ明るかった。外へ出てテスト撮影をすればいいのだけど、外に出る元気がない。明日はそんな時間がないのだから今のうちにやっておいた方がいいのはわかっていてもできないものはできない。週間天気予報を見ると予報が変わり、週末に傘マークがついている。本当に降るのかどうか、この暑さの中で、雨のことを考えたとしても、雨

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1月23日
目覚ましがなっているのに、眠気が異常だ。絶対に起きたくない、体が眠ろうとする。本当に起きなければならないのか、今にも眠ってしまいそうな頭で考える。答えが出る前に眠っていた。再度鳴った目覚ましでまた目を覚ます。絶対に起きたくない、同じことを思った。目を開けて、時計を見る。長い針も短い針も見えた。あと10分くらいは寝ていても大丈夫だ。だけど、と思う。昨日の夜に思っていた何かを思い出しそうになる。早く起きて何かしなければならなかったのではないか、しかし、眠気が異常だ。なんだ、この眠気は、病気にでもなったのか、もう一度目を開けようとするのだけど、開かない、眠っているのか、もしかして、腕を動かそうとする、動いた気がしているけど実際は動いていないこともわかっている、また眠っているに違いない、と思っている、目を開けようとする、開いている気がする、天井の角が見えている気がする、だけど、見えてない気もする、