Shin Yamagata

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ツツジ




光の色が違っていた。それはもう夏の光だった。まだ八重桜が咲き、ツツジが咲き始めたばかりなのにこの光の色には違和感がある。ツツジのつぼみには茶色い蓋のようなものがかぶさっていて、それを手に取ると粘粘していて指から取れない。なんのための粘粘なのかわからない。それと光の色は特に関係はない。光の色がおかしいからどこを見ても見たことのない風景のようで、いつもの場所のいつものところに目が行かず、違うところばかりが目に飛び込んでくる。だからツツジのつぼみの茶色い蓋のようなのが気になって触ってしまうと、粘粘していて指から取れない。なんのための粘粘なのか考えたところで何もわからないけど、この粘粘はツツジにとって必要なものなのだろう。必要なものだろうと書いてはみたものの、本当に必要なのかどうかはやっぱりわからない。この粘粘は必要以上に粘粘しているような気がする。これほどの粘粘がなぜ必要なのかさっぱりわからない。指から取れないからくっつけたまましばらく過ごしていたら知らないうちに取れている。取ろうとしたら取れないけど放っておけば取れている。ツツジのつぼみの茶色い蓋のようなものは触らない方がいいだろう。粘粘し過ぎている。