Shin Yamagata

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4月30日




駅の南口に広がる〜銀座商店街という日本のどこにでもあるような名前を付けられた商店街にある喫茶店でアルバイトをしている女の子が喫茶店の制服ではなく黒いスーツを着て歩いている姿を駅のホームから改札口へと向かう階段で見かけた。同じ電車に乗っていたようだ。いつもいく喫茶店でその女の子が働きはじめたとき、「いらっしゃいませ」をすごくはずかしそうに言っていたことをよく覚えている。今も伏目がちな態度はあまり変わらないけど「いらっしゃいませ」はすんなり言えるようになっている。「いらっしゃいませ」なんて言葉を言えと言われてすぐに言えるほうがおかしいと思うのだけど、なんの抵抗もなく口先だけで「いらっしゃいませ」とすぐに言える人は必ずいる。そんな人より「いらっしゃいませ」に何かしらの抵抗を感じる人の方が好ましく思えるのはただ単に自分自身がそうだったからで、すぐに「いらっしゃいませ」と言えてしまう人間の適応力というのか鈍感さというのか行き届いた教育のおかげというのか、そういうものにたいしてはいつまでも抵抗を感じてしまう。そのアルバイトの女の子が黒いスーツを着ているのだから就職活動なのだろうか。