Shin Yamagata

お知らせ  zine  Twitter   Instagram


 


2月17日
友人の家の台所の床にずらっと一列に並べられていた賞味期限が4年前のジャムを、もう一人いた知人と分け合って七つほどもらって帰った。密閉されているから腐ってはいないだろうけど、蓋を開けた途端に腐臭がもわっと部屋に広がったらどうしようと思いながら、食べたことのないミルクジャムの瓶を手に取った。蓋は開かなかった。ガスコンロで蓋をあぶってもう一度力を入れるとぱかっと蓋が空いた。匂いは悪くなかった。よくもなくてなんのにおいかよくわからないにおいだった。スプーンを瓶の中に突っ込むと、表面が固まっていてスプーンが奥に入らなかった。力を入れて乳白色の固まったところを突き破ってさらに奥にスプーンを突っ込むと、どろりとしたジャムらしきものが出てきた。ジャムらしきものであってまだジャムとは言い切れない手応えだった。スプーンですくって鼻に近づけてみる。異臭はなかった。少しだけ口に入れてみる。舌の上に広がる