Shin Yamagata

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47階




ものすごく晴れた日に限って仕事、というのが最近続いているような気がしないでもないような気もしないでもなかった。地下2階から地上46階までどこにもとまらないガラス張りで外が丸見えなエレベーターでグイ〜ンと移動中に見えたあの緑がこんもりしている地帯は皇居だろうか、お堀っぽいものも見えるからきっとあれは江戸城だと確信めいたものを感じることができたけど、ここからだと簡単に狙い撃ちにされてしまう皇居というのはなんとも頼りなげで、そんなに簡単に狙われてしまうくらいならあれは皇居じゃない方がいいからあれは浜離宮ということにしておこうと考えたりしているうちにもう46階に着いていて、静かにエレベーターの扉は開いていたけど、もちろんその前にエベレーターはきちんととまっていた。エレベーターを降りたからといってそこが本当に地上46階なのかどうかもわからない。そんなに高いビルだと上のほうの階は常に風で揺れていてもおかしくないし、実際、川で上がる花火を見ようと橋の上に集まっている人をすり抜け橋を渡っているときに、確かに人ごみはうっとうしいし、ぶつかりそうになるのを避けたりしながら避けられずにぶつかってしまって、ヤンキーっぽい人(花火大会には絶対に来ている)にギロリと睨まれたりするだけでこんなところに来てしまったことを後悔したりするんだけど、そんな時にでも橋は人の多さと、車が走ったりすることでユラユラ揺れていたりしているのだから、そして揺れる橋の方が安全だと聞いたこともあるのに、揺れないビルというもののいったい何を信用すればいいのかがまるでわからないのだけど、本当は揺れていて、気付かないだけなのかもしれなかったりもするのだろうか、どうなんだろうか、どうでしょう。そこから階段で47階へ上がるのだけど、どうして47階まで直通のエレベーターがないのかわからないし、46階で降りたそのエベレーターから少し離れたところに46階から47階までの上下1階分のエレベーターがあるのもよくわからないけど、とにかくその上下一階分のエベレーターに乗らずに47階までは歩いて階段を登った。そこはエレベーターと同じようにガラス張りになっていて、もう10月もとっくに過ぎてしまったというのに、ビニールハウスの中のように猛烈に暑かった。エレベーターのことを時々エ「ベレ」ーターと書いてみた。